分配金利回りにある2つの落とし穴

分配金利回りにある2つの落とし穴

最近、投資信託を選ぶ際の判断基準のひとつとして、「分配金利回り」という考え方が注目されています。たとえば、毎月90円の分配金を支払っている毎月分配型ファンドがあるとしましょう。購入時の基準価額は7000円です。分配金利回りとは、1年間で得られる分配金合計額を、購入時点の基準価額で割って求められます。前出の例で算すると、毎月90円の分配金が得られるわけですから、1年だと90円×12ヵ月=1080円です。

 

これを購入時の基準価額7000円で割ると、分配金利回りは15・42%にも達します。2011年9月現在、1年物定期預金の利率は年○・025%ですから、それに比べると格段の高利回りです。注目する個人が大勢いるのもうなずけます。結果、分配金利回りの高さにつられて、とくに毎月分配型のファンドを購入する人が増えているわけですが、分配金利回りにはいくつかの落とし穴があります。第一に、分配金の額は常に一定であるとは限らないことです。

 

投資信託の分配金は、ファンドに組み入れられている株式の配当金、債券の利金、それぞれの値上がり益、為替差益など、運用によって得られる収益の一部を充てています。この手の運用収益は、常に一定とは限りません。仮に株や債券価格が急落したら、分配金の原資が不足して、分配金が支払えないというケースも考えられます。したがって、直近の決算時に支払われた分配金をベースにして計算された分配金利回りを判断基準にしてファンドを選ぶと、運用成績が悪化したときに、想定した運用利回りが得られなくなる恐れがあります。

 

 

第二は、特別分配金の存在です。投資信託の分配金には、「普通分配金」と「特別分配金」があります。普通分配金は、前述したように、純粋に運用によって得られた収益の一部ですが、特別分配金は単なる元本の払い戻しに過ぎません。つまり、純粋に運用で得られた収益ではないだけに、特別分金込みの分配金支払い額で計算された分配金利回りがいくら高くても、それは運用が優れているとはいえないのです。

投資信託の特別分配金の実態

たとえば9000円の基準価額で購入したファンドが、決算時点で9100円に値上がりしていたとします。そして、決算時点で200円の分配金が支払われたとします。この場合、ファンドの基準価額は9100円−200円=8900円に値下がりします。9000円で購入したファンドの基準価額が、200円の分配金支払いによって8900円に値下がりしたということは、200円の分配金のうち100円は、当初の元本から差し引かれてしまったものということになります。そのため非課税の特別分配金として、その分を投資家に払い戻すのです。

 

つまり、いくら分配金利回りが高かったとしても、特別分配金が多めに支払われていたら、それは決して運用の優秀さを示すものではないということになるのです。いずれにしても、分配金利回りというのは、過去の運用によって得られた収益に過ぎません。つまり将来の運用成績を約束するものではないのです。したがって、分配金利回りを判断基準にしてファンド選びをするというのは、危険なことでもあります。投資信託を選ぶうえで大事なことは、前述したように、投資先マーケットが成長するかどうかを考えることです。

 

まずは、将来、どのマーケットにお金を置いておくのがいちばん有利なのかということを考えたうえで、それに合ったファンドを選ぶようにしましょう。また、投資信託を買うときの為替レートが、現在のように歴史的な円高水準にあるとしたら(投信を売るときには現在より円安になるとしたら)、さらに為替差益も狙える大チャンスだということになります。

資産運用関連のマーケット情報

欧州債務懸念に加えて、世界の景気減速懸念から商品市況が下落しており、FX投資家心理が悪化。米国株の下落影響によってシカゴ日経225先物清算値は8420円となり、大証ナイトセッションで織り込まれているものの、日経平均はこれまでの25日線と75日線とのレンジを割り込むことになる。支持線を下回ることによって、年末高への期待感が徐々に後退することになりそうだ。